先日、速報で入った「エディ・スリマン CELINE(セリーヌ)退任」のニュース。
約7年にわたり、CELINE(セリーヌ)のウィメンズ、メンズ、クチュール、フレグランスまでも指揮を取ってきた彼が遂に退任となった。
過去、Dior HOMME(ディオールオム)やSaint Laurent(サンローラン)といった名だたるメゾンで力を発揮してきた彼は、今後間違いなくファッション史に名を残す偉大なデザイナーの一人だろう。そこで、なぜ彼はそこまでの人気を博しているのか、今までのエディの功績を振り返っていく。
生み出してきた名品たち
各ブランドに定番を超える“名品”と呼ばれるアイテムは一つや二つあるものだが、エディは今世紀の名品と呼ばれるであろうアイテムを連発している。Dior HOMME(ディオールオム)でもSaint Laurent(サンローラン)でも「エディ期」のアイテムは今でも一定数のファンがいる。
その中でも一番人気と言っても過言ではないのがやはりスキニーデニムだ。JAKE(ジェイク)、Destroyed Coated Denim(デストロイコーティングデニム)、Blue Silicone Coated Denim Pants(ブルーシリコンコーティングデニム)など、誰もが一度は見たことのあるスキニーデニムの数々を世に送り出してきた。
CHANEL(シャネル)のクリエイティブディレクターであった、Karl Lagerfeld(カール・ラガーフェルド)がエディの作るスキニーパンツを履くために40kgのダイエットをしたのは有名な話だ。
ライダースジャケットも引けを取らない不朽の名品の一つだ。“エディレザー”の愛称があるほどファンからの支持が高いアイテムで、シンプルでありながらも上品さが溢れるデザインが多い。クロスポケットレザーブルゾン、モーターサイクルジャケットシリーズなど、何シーズンにも渡りレザージャケットを提案してきた。
エディを語る上で、ブーツも欠かせないアイテムの一つだ。ワイアットハーネスブーツ、サンティアゴブーツ、チェルシーブーツなど、ポイントトゥでヒールが特徴的だ。カーフやラムを使用し、エディスタイルにぴったり合うシューズだ。
彼のロックテイストと上品さの掛け合わせの上手さから、全てに一貫して”エディらしさ”が溢れ出ている。タイトなシルエットから放たれる独特の気品と美しさは、まさにロックそのもの。優れたデザインセンスに加え、その世界観を伝えるブランディング力にも長けていた彼は、就任したほとんどのブランドで売上を向上させている。コレクションとして評価を受けても、リアルクローズではないアイテムが多い中で、これほど”普段着”としてコピーも含め、世の中に流通させた彼はファッションデザイナーとして評価されるべきだ。
新たなメンズのかっこよさを定義したエディは今後も、ファッション史に刻まれるに違いない。
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