「パリ・ファッション・ウィーク」2025 春夏シーズンが2024年9月23日〜10月1日(現地時間)まで開催された。
フィジカルとオンライン形式で合計72ブランドがコレクションを発表した。
ニューヨークから始まり約1ヶ月にわたって行われた4大コレクションはLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)のショーで幕を閉じた。
DIOR(ディオール)
ロダン美術館にて行われたMaria Grazia Chiuri(マリア・グラツィア・キウリ)による「DIOR(ディオール)」のコレクションは、1951-1952年秋冬オートクチュール・コレクションに登場した“アマゾーヌ“ドレスから着想を起点とし、ギリシャ神話に登場する弓術を得意とし、戦いと狩猟を好む女性だけの部族アマゾーンからインスピレーションを得たものだった。
ステージには、今回のショーを体現するような作品にアーチェリーを用いる女性アーティストのサグ・ナポリ(SAGG Napoli)が登場。
アマゾーヌが着用していたようなアシンメトリーのボディスーツ、スイムウェア、バイカースーツやスキーウェアのようなルックがラインナップ。
全体的にパワフルさを感じさせるスタイリングが多く、スポーティーな装いだが、シューズや小物にDIORらしいフェミニンさが垣間見えた。この女性らしさと力強さを絶妙に表現しているのが流石だ。
Courrèges(クレージュ)
3日目のスタートを切ったのはNicolas Di Felice(ニコラス・デ・フェリーチェ)率いる
「Courrèges(クレージュ)」。
メビウスの帯をテーマにミニマルをベースとするスタイルを展開。トレンチコートはフロントに曲線を描く襟を取り入れたり、スリットを設けたりと、洗練された線の力によって独特のフォルムを生み出している。
アーカイブを現代風にアレンジした艶感のあるレザーを使用したコクーン型ケープは、過去のオートクチュールのケープを現代的にアレンジしたもの。
フード部分から裾部分まで全体的に丸みを帯びたシルエットに仕立て、歩く度に表面がうねって見えるのが魅力的だ。
後半には、胸元に大胆なスリット等のデザインが多く見られ、上品かつフェミニンなドレスが登場。
アクセサリーはベーシックなブラックとホワイトが採用され、ミニマルなデザインが多い中、フェザーをあしらったイヤーカフなどがシンプルさの中にもインパクトと優雅なアクセントを与えていた。
Balenciaga(バレンシアガ)
「Balenciaga(バレンシアガ)」のDemna Gvasalia(デムナ・ヴァザリア)は幼少期の頃、家族にスケッチした服を発表していたピュアな思い出をインスピレーションにコレクションを披露。祖母の家のテーブルをオマージュしたような巨大なテーブルをモデルたちが歩いた。
今回のコレクションでも、Balenciagaらしい自由な発想で、見たことのないデザインが多く見られた。トロンプ・ルイユを駆使したランジェリー風のボディスーツ、クロップド丈のコクーンジャケットと極端なローライズデニムの組み合わせ、装着にボタンやファスナーを使わないナイロンビスチェなど挑戦的なアイテムが多数登場。
また、ルネサンス期のメディチ家の装いからインスピレーションを得た極端なハイネックが採用されたジャケットも目を引いた。首や頭まで覆う大胆なデザインが施され、独自のスタイルで印象に残るコレクションだった。
さらに、ビスチエドレスがレザーブルゾンに変わる驚きの2wayアイテムも登場。新たな視点を提案し、ファッションの未来を再定義した。
これほどまでに見たことのないシルエットやスタイリングを提案し続けるBalenciagaには頭が上がらない。