プラダ（PRADA）は6月22日、ミラノにて2026年春夏メンズ・コレクションを発表。
会場となったプラダ財団のスペースは、うだるような気候の中で自然光と音が交差するオアシスのような空間に変貌した。むき出しの梁とコンクリートの床に、デイジーを模したラグが敷かれ、鳥のさえずりとカウベルの音が静かに響く。インダストリアルな無骨さとユートピア的な演出が共存する、まるで絵本の中の避暑地のような演出だった。
ファーストルックは子どもの装いのように軽やか
スタートを飾ったのは、ボウリングシャツにショーツ、ローファーのルック。
ショーツは極端に短く、ローファーのトゥはカットアウト。シャツには朝焼けのイラスト、首元にはベビーブルーのタートルネックを重ね、肩の力が抜けたムードを醸し出した。
ブルマー風ショーツも今季多く登場し、ラフ・シモンズは「子どもの無邪気さを象徴するアイテム」と語っている。
“穏やかさ”と“自由”をテーマに掲げた意図
ショー後のインタビューで、ミウッチャ・プラダとラフ・シモンズは「穏やかさ」「自由」という言葉を繰り返した。
ラフは「今の時代に立ち止まり、静かに振り返るひとときが必要だった」と語り、ミウッチャは「この世界に蔓延する攻撃性や権力主義の精神とは対極的な感覚」と付け加えた。
タイトル“A CHANGE OF TONE（トーンの変化）”の通り、これまでのパワードレッシングから静かで内省的なムードへの転換を示したコレクションとなった。
パステルカラーが支配する静かな色彩
色構成も大きく変化。これまで多用されていたコバルトブルーやレッド、イエローは影を潜め、代わりにバターイエロー、ミントグリーン、ピンクといったパステル系のカラーが多用された。癒しを感じさせる柔らかな色彩が、今季の穏やかなトーンを視覚的に支えていた。
