「ミラノ・ファッションウィーク」2025年春夏シーズンが2024年 9月17日〜23日(現地時間)まで開催された。
フィジカル参加56ブランドと、オンライン参加8ブランドを含む、計64ブランドが登場。FENDI(フェンディ)のショーを皮切りにMARNI(マルニ)、VERSACE(ヴェルサーチェ)、EMPORIO ARMANI(エンポリオ・アルマーニ)、BOTTEGA VENETA(ボッテガ・ヴェネタ)、など名だたるブランドが連なった。
JIL SANDER(ジル サンダー)
今季の「JIL SANDER(ジル サンダー)」は、1972年から1982年にかけてカナダ人写真家グレッグ・ジラードによって撮影されたバンクーバーの港のノスタルジックな写真に強くインスパイアされたコレクションだ。
玉虫色のジャケット、ネオンの風景のプリント、鮮やかな赤や水色など、ジラードの写真から切り取られた豊かなカラーパレットは、都会的で多様性を感じさせる。
ニットのセットアップ、レザースカート、レース、光沢感のレインコートなど、様々な素材の使用も多様性を表現。都会らしさとどこか少し懐かしい雰囲気が絶妙にシルエットとカラーに落とし込まれている。ジラードの写真から都市の風景とその中に潜む感情を巧みに表現し、現代社会の多様性を反映した魅力的なコレクションとなった。
GUCCI(グッチ)
クリエイティブディレクター、Sabato De Sarno (サバト・デ・サルノ) による、3シーズン目の「GUCCI (グッチ)」のコレクションはトリエンナーレ・ミラノ・デザイン・ミュージアムにて開催された。
テーマは「casual grandeur(さりげない壮大さ)」。前任のAlessandro Michele(アレッサンドロ・ミケーレ) のアイコニックなホースビット、バンブー、フローラなどを取り入れつつも、装飾的なデザインからシンプルで落ち着いたクワイエット・ラグジュアリーに移行した。
ホワイトからオレンジ、グッチ ロッソ アンコーラへと色彩が夕日の様に移り変わる演出は見事だった。テーラリングやランジェリー、レザー、1960年代のシルエットを組み合わせ、彼らしいGUCCIがこの1年間で完成したように見える。
今回のコレクションで様々なファブリックやデザインで登場した「グッチ バンブー 1947」はジュエリーにも発展。バンブーのフォルムを模したネックレスやブレスレットが、シンプルさの中にも印象に残るアクセントとなっていた。
PRADA(プラダ)
Miuccia Prada (ミウッチャ・プラダ)とRaf Simons(ラフ・シモンズ)による今季の「PRADA(プラダ)」は「INFINITE PRESENT(無限の現在)」というテーマのもと、アルゴリズムによって失われつつある人間の創造性と偶発的に生まれるアイデアを服を通して表現した。
トロンプ・ルイユの手法を用い、強風に煽られたようなシャツの襟や、裾の無造作なめくれ、意図的に施された衣服のしわなど、矛盾や違和感を表現。全体的なシルエットもコントラストが意識されており、ジャケットにタイトなレギンスやミニショーツが組み合わせられた。形やテクスチャー、スタイリングに違和感を持たせ、本質を問いかけるようなコレクションだ。
今季のコレクションは、多様で難解なスタイルを提案。トレンドへの反抗を感じさせ、SNSが普及する現代にミウッチャだからこそ成立する、メッセージ性の強いコレクションだ。与えられた情報に疑問を持ち、「自分で考える」という人間らしさを服を通して訴えかけた。