「BEFORE AND NEXT」が示す、過去と未来のあいだ
プラダ(PRADA)」は、2026年秋冬メンズコレクションを発表した。
舞台となったのは、プラダ財団が擁するスペース「Deposito」。今季掲げられたテーマは「BEFORE AND NEXT」で、時間軸を行き来するような思考から生まれたコレクションが披露された。
着想源となったのは、いわば“考古学的”な視点。過去に残された痕跡を読み解きながら、次に進むべき姿を探る——そんな往復運動が、今季のクリエイションの核にある。
明晰さを宿す、縦長で構築的なシルエット
前シーズンの穏やかで流動的なムードから一転し、今季は縦のラインを強調したシャープで構築的なシルエットが印象的だ。
その背景にあるのは、「不安定で先行きの見えない時代において、明確な輪郭は人に安心を与える」というメッセージ。
身体の姿勢や立ち振る舞いを意識して設計されたフォルムは、単なる衣服にとどまらず、着る人の精神を支える“構造体”のような役割を果たす。社会の不透明さに対抗するための、静かなプロテクションとしての服——そんな意図が読み取れる。
時間を重ねることで生まれる、新しい価値
コレクション全体には、「過去を切り捨てるのではなく、蓄積として未来へつなぐ」というプラダの一貫した姿勢が色濃く表れている。
クラシックなコートやジャケットには、使い込まれたような加工や、時の経過を思わせるディテールが施され、衣服が人生とともに歩んできたかのような佇まいを見せる。
また、異なる時代のイメージを重ね合わせたコラージュプリントも登場。
古代から現代へと続く人類の文化や記憶を断片的に引用しながら、時間の連なりそのものを可視化している。
過去と未来、そのどちらにも偏ることなく、“今”をどう生きるかを問いかけるプラダの2026年秋冬メンズ。
静かでありながら力強いメッセージが、コレクション全体を貫いていた。
